ネットの荒らしとは何者なのか、その原因とは

2019年2月14日木曜日

インターネット 攻撃性 心理学





インターネットでは特に意識せずとも、攻撃的な発言で周りの空気を乱したり、急に怒り出して特定の対象へ粘着し始めるといった行為を(見ようと思えば)嫌という程見ることができる。

特にSNSなどのミニブログでは顕著であり、Twitterにおける炎上だったり、勘違いからの粘着行為(ストーキング)、対象の価値を下げるような発言を行うなど、枚挙にいとまがない。そんな彼らは何を思い攻撃的な振る舞いをしているのだろうか?



日常的な居場所のなさによるもの


現実、もしくはインターネット内での居場所のなさが攻撃性を高めるというケース。

ある社会心理学の研究(参考1)では、現実世界での居場所のなさ(帰属意識の低さ)がインターネットにのめり込ませ、他者を信用することが少ないために攻撃的な振る舞いを見せることがあるという。

そして居場所がないという考えについては、本当に居場所が無い場合と、自分自身で勝手にそう思い込んでいる場合の2種類があるように思え、後者の場合は時間経過や時間などによる人間関係の改善だったり、自発的にカウンセリングに通うなどして改善する可能性はあるだろう。
しかし前者の場合は攻撃的な発言などを行う度に元々無い居場所が更に無くなっていき、更に孤立が加速してゆくという負のスパイラルのようなものが発生するのではないかと考える。


居場所のない人の考えるインターネットの世界。


居場所がなく、攻撃性の高い人はインターネットの世界を次のように考える傾向が強いらしい。

◆1, ネット上では他人の悪口を言いやすく、傷つけやすいと感じる。
◆2, 気に入らない相手なら関係をすぐ断ち切れる。
◆3, 自分を認めてくれるような人とは出会わないだろう。
◆4, 知り合った人から情報を得ることができる。
◆5, 簡単に友人になれる。

ここから見えてくるものは、インターネットという匿名性の高い場によるもの(1,2)や、他者に認められることへの諦めの感情(3)、他者を利用しようと少なからず考える傾向(4)があるということである。
また、彼らはネットでなら簡単に他者と友人になれると多少思いがち(5)な傾向にある。


ようは簡単に友人になれるけど、気に入らなければ切り捨てると考えている、よくある悪役みたいだね。また、ネット上では相手を傷つけやすいということも理解しているようなので質が悪い。この辺りは後のダークトライアドにも関わってくる話だろう。


また、居場所のない人のインターネットの使い方はこのような動機が強い。

◆1, 日々のストレスの解消。
◆2, 非日常な感覚を味わえる。
◆3, 日常生活の嫌なことを忘れさせてくれる。
◆4, ネットにのめり込んで現実を忘れる。

これらを見るに、彼らはインターネットをあくまで仮想空間として捉えており、現実での晴らせない鬱憤ストレスなどから逃れるために使用していると考えられる。

根本的な問題としてはまず現実での問題があり、それを解消するためにインターネットを使用する。これは一般的によく言われている「ネットは現実逃避」という感覚に近いのかもしれない。
現実逃避の結果として他者を攻撃することが許されるかどうかは別として、現実での問題を解決しない限りはやはり彼らを止めることは出来ないと思う。


余談だが、匿名性によって攻撃性が上がるというものでもないらしい。フェイスブックは言わずとしれた実名制のSNSだが、荒れるところは荒れていたし、極端な思想を言いふらす輩も居たという。結局の所、実名であろうと匿名であろうとそこまで抑止力にはならないというのが私の見解である。

ただし、最初だけは抑止力になりえるだろう。最初だけ。
次第に人間はその状況に慣れていくものだし、たとえ一日中監視カメラに行動を事細かに撮影されていたとしても、次第にどうでもよくなっていく。だってほら、一歩外を歩けばいろんなところに監視カメラがあるけれど、気にしないでしょ?

また、みんながやるから大丈夫というものがある。攻撃的な発言をしても大丈夫、だってみんながしているから。と考えてしまうこともある。

これをリスキーシフト言い、”赤信号みんなで渡れば怖くない”という言葉は聞いたことがあるだろう。みんながやっているから大丈夫という心理は「みんな実名を晒していても攻撃的なこと言ってるし、セーフセーフ」と思い込みやすい。実際は全然大丈夫ではないわけだが……。

ダークトライアド


3つの邪悪な傾向


ダークトライアドというのは聞いたことのある人も多いだろう。よく、ネットにおける荒らし行為(トロール)をする者と関連付けされる。
ダークトライアドには3つの特性があり、それらは一般的には大概ろくでもないとされるものである。

◆1, ナルシシズム
◆2, マキアベリズム
◆3, サイコパシー

これら3つの特性が高い性格がダークトライアドとされる。さらにここに”サディズム”を含むとダークテトラッドとなり、より攻撃的で反社会的な行動を取るとされる。


ナルシシズム


自己愛とも言われる。もうその言葉だけで嫌悪感を示す人も居るくらいで、一般的には嫌われやすい性格だろう。

ナルシシズムは自己を正しく認識できずあこがれの自分へのとらわれがある。そのため外部的な社会的地位の向上や、意識の高い目標を達成し、周囲からの称賛を期待するとされる。ようは注目を浴びたい。かまってちゃん。
また、自慢話が多くなったり、他人に対しての共感能力が低くなりがちである。

これらは第二次ナルシシズムと呼ばれ、思春期から成人にみられる。現実と本当の自分とのギャップが高くなり、自尊感情が低下しており、さらに行き過ぎると自己愛性パーソナリティ障害に発展する可能性がある。

そんな性格のためか、ナルシシストは人から避けられると思われがちだが、最初だけは巧みな言動とカリスマ性によって人を惹き付ける。
ただ、口だけ達者だったり、嘘の自慢話を見抜かれたり、そもそも私みてみてな感じなので次第にウザがられ避けられるようになるだろう。


マキアベリズム


これは簡単に言ってしまうと目的のためなら手段を選ばないという特性である。
他人を搾取するための道具としてみなしたり、コントロールしようとする。道徳への無視、嘲笑を行うとされる。

おそらくだが、彼らは無意識的に行っている。また、意識的に行うにしてもそれに強い優越感を感じているだろう。罪悪感などはおそらく無い。
自身のマキアベリズムを自慢し、誇りに思う者が居ても不思議ではないし、ビジネスや自己啓発系のブログでは実際にそのような者も居る。

思うに、ナルシシズムとの関係が少なからずあるのではないか?
他人を搾取することや、道徳を積極的に無視するということは、自己中心的であり他人は自分より下の存在であると考えていると捉えることもできる。ナルシシズム的な満足感を得やすい特性ではあるかもしれない。


サイコパシー


サイコパスという言葉は割と有名なので聞いたことのある人も多いだろう。重度では障害であるとされ、ICD10では特定不能のパーソナリティ障害に位置する。

良心が異常なほど欠如しており、他人への共感をすることがない、更に平気で嘘をつき、責任からは積極的に逃れようとする。
ただ、カリスマ性のある発言により人を惹き付けるとされている。

ちなみにサイコパスには共感能力自体は存在するとされる説もある。やろうと思えば人に共感することが可能になるスイッチのような物があるらしい。ただし、基本は共感しようとしないので、あるけど使わないし、使う意味を感じないとされる。


間違ってはいけないのがこれらの特性は誰でも持っているものだということ、しかしダークトライアドの人は一般の人よりもその特性が強く現れるというだけであり、これらの特性が多少あるからといってダークトライアドであるということではない。

また、これらの特性は自身が優位に立つほど現れやすく、例えば会社の先輩や上司であったり、チームのリーダーであったりする場合にはより現れるだろう。しかしながらこの特性自体が社会的地位の向上によって現れるということではなく、元からあるものが表面に出やすくなるということのように思える。

浅い考察だが、ナルシシズムにある傷つきやすさや挫折からのリカバリーの遅さをサイコパシーで補っているようにも感じられるが、果たしてどうだろう。

ちなみに、ダークトライアドで検索するとサジェストに「モテる」と出る。
これは彼らがあくまで表面的には魅力的であり、それに騙される人が多いからだろう。しかし、その魅力は長くは続かない。
そのうち暴力を振るい始めたりだとか、子供が出来た場合は虐待ネグレクト過干渉といった問題が浮かび上がることがあるだろう。

反抗期


単純に反抗期であるとされる意見。
YouTubeのコメントが荒れているのを見たときに何故荒れるのか疑問に思ったりしていたが、深く考える必要はあまりなさそうだ。

若さゆえの過ちというか、多感な時期ゆえに自制が効かないだとか、誰にでも経験があると思う。それが中高生にもインターネットが当たり前の時代となり、必然的に多くの人の目にふれることとなっているだけだろう。

また、中高生の学校生活における制限による反動とも言われている。

また、彼らは普段の学校生活では暴力的な発言や行動が一切封印されています。
学校には教師という番人がいて、普段からあれもダメ、これもダメというダメダメだらけの環境で生活を送っているのです。ところがYouTubeには番人はいません。好きなことを好きなだけ発言して良いのです。
人間は禁止されたり、押さえつけられると余計にやりたくなるものです。そのため、普段は絶対言えないような誹謗中傷をネットに投稿することで、ある種のエクスタシー(自分は最高に悪いことをしているという優越感)を感じているのではないでしょうか。
  引用:YouTubeのコメントはなぜ荒れる?キッズの反抗期が原因か - アーリーテックス (EarlyTeches)

心理的リアクタンスというものがある、特定の行動への制限や高圧的な態度による抑圧により、自身の自由を迫害されたと感じ、指導者の意図とは真逆の態度を取り始めるということ。
理不尽な校則や威圧的な教師によりこのような現象が起こることは十分にありえるだろう。もっとも、その未熟な教師などによって起こる一連の歪みが吐き出される場所はネットなので、被害はこちらに来るわけだが……。


まとめ


インターネットでの荒らしや、粘着行為。炎上させようとする行動にはこれらの要因があると考えられる。だが、3つともそれぞれの関連性が薄く、インターネットという空間で起こる荒らし行為の心境を○○だからだ! と断定するのは不可能ではないだろうか?

日常の不満からくる荒らしの場合、ぶっちゃけ誰でも荒らし行為をやりかねないということ。但し、荒らしている時に充実感を感じるだとか、もうかれこれ半年は粘着して批判し続けているとか、そのレベルになったら一度自分を見直してみたほうがいいかもしれない。
ダークトライアドに関してはそもそもメタ認知が苦手なので、これからも気分のままに荒らすだろう。

そして、今のインターネットには極端な思考やネガティブな情報が流れてきやすく、それらに対応しているとキリがない。自分が荒らしや空気によって嫌な思いをしないためにも、自分自身が荒らしに加担してしまわないためにも、スルースキルは磨いておきたいところだ。


参考