世の中には成功したいと思う人は沢山居るだろう。ビジネスで、イラストレーターとして、Youtuberとして……。これらは仕事だけと限らず、遊びであったとしても、多くの場合は成功を求める。しかし、成功した人にはその人なりの苦悩があるようだ。
この記事ではそんな成功者が抱える苦悩について語ろうと思う。というのも成功者の苦悩というものは一般人から見るとある種の自慢のようにも見えてしまいやすく、同意が得られにくい。それによる自尊心の低下やうつ病などといった障害に発展する可能性もある。
では、そのような成功者の苦悩とは一体何なのか?
インポスター症候群
解説
インポスター症候群とは、成功者が自分の成功を肯定できず、人を騙して成功してしまったと思い込んでしまう心理である。心理学者であるポーリン・R・クランスとスザンヌ・A・アイムスによって命名されたもので、外から見るととても優秀であり、それを示す証拠もあるにもかかわらず、自身の成功へ疑問や詐欺師にも似たような感覚がある。よってインポスター(詐欺師)症候群とされる。ちなみに、症候群と書かれてはいるものの病気ではない。ポーリン・R・クランスは「もしやり直せるなら、インポスター体験と名付けたい」と語っているように、この症状が誰でも体験するものであることを示している。
インポスター症候群は最初、女性を対象に研究が進められていたため、女性に多いとされることがあるが、男性と女性のインポスター症候群の割合はほぼ同程度である。
And the popular understanding of impostor syndrome as a form of internalized sexism is a few decades behind the research. Clance and Imes originally theorized that impostorism was a gendered phenomenon, but subsequent studies found no difference in self-reported impostor feelings among male and female college students, professors, and professionals. In 1993, Clance conceded that her original theory of impostor syndrome as a uniquely female problem had been incorrect, since “males in these populations are just as likely as females to have low expectations of success and to make attributions to non-ability related factors.”
これによると、初めはこれらの症状はジェンダーによるものであるとされていたが、その後の研究で男性と女性の体験人数に違いは無かったらしい。ただし、男性と女性では違った反応を見せるとも。
男性の反応は、とりわけ暴力的な非難や中傷に対する恐怖が強いとされ、これは自分が相手を騙してもしそれが暴かれた時に、周りの人間は不公平さから、反発心が大きくなるだろうと考えるからかもしれない。
女性の反応は、ある意味で軽視による感覚である。男尊女卑の傾向にある社会で働く女性は、女性はあくまで守られる立場であることが多く、自己主張を好まない。そんな彼女らは成功した時に、媚を売ったからなどと嘲笑されたり、思わぬ嫉妬を受けることに対する恐怖が強いようだ。
もちろんこれらの反応は男女に完全に分けられるものではなく、どちらにでも起こりゆることであるが、傾向が強いというのは頭に入れておくと良いかもしれない。
症状
簡単ではあるが、インポスター症候群には以下の症状があるとされる。
◆1,自分の成功を肯定出来ず、成功を讃えられると恐怖を感じる。
◆2,自分は偽物であると思う。自分の能力を示すデータや、直接インポスター症候群であると言われた際には、さらに強まる。
◆3,実力ではなく、容姿などの魅力により上司を騙したと考える。
◆4,自分の能力や知性は嫌われるものと考え、自分の能力や知性を嫌う。
これらに共通する点は、あくまで自分の成功は周りの勘違いである。という思い込みによる自己否定である。
また、インポスター症候群の人は自分に実力は無いと思いこんでいることから、周りの勘違いが暴かれた際の非難を避けるため、過度に勉強をしたり努力しようとし、周りが勘違いしている実力まで底上げしようと考える。しかしながら周りの評価は勘違いではないため、さらに称賛を集めることとなり、それをまた否定してさらに努力するというループに陥りやすい。
このような努力と称賛の抜け出せないループに陥り、本人がストレスの限界を迎えると、バーンアウト症候群や、睡眠不足などを引き起こしてしまう。
マイノリティとインポスター症候群
インポスター症候群はマイノリティと関係があるという説もある。というのも女性の反応で書いた、男尊女卑の社会で働く女性というのもマイノリティに属するだろう。
なぜマイノリティと関係があるのか、それは彼らが部外者だと感じやすいからである。私達の社会ではマイノリティに対する扱いに関してはマジョリティと同程度に充実しているとは言いづらく、コミュニティも狭くなりがちである。働く女性やLGBTQの人たちや黒人など、彼らは普通の人というよりも特別なものと描かれやすく、そのような扱いは彼らの自尊心を破壊する。社会からの孤立により自尊心が破壊された彼らは、自分の存在すら偽物であると感じてしまうだろう。
もしよくわからないのであれば、あなたが今持っている漫画や映画を見てみよう。黒人の主人公は居ただろうか?だとしたらどのくらいの割合でだろうか?
働く女性が活躍する作品も見てみよう。おそらくかなりの数があると思うが、果たしてその内、女性であることがメインの売りでなく、ストーリーを売りにしている作品がいくつあるだろうか?
恋愛映画を見てみよう。果たして沢山の恋愛映画の中に何本、同性愛の映画があるだろうか?
マイノリティの問題を見るのは非常に難しく、あるマイノリティが別のマイノリティを理解することも難しい。故に孤立しやすく、自尊心は大きく低下するとされている。
なぜマイノリティと関係があるのか、それは彼らが部外者だと感じやすいからである。私達の社会ではマイノリティに対する扱いに関してはマジョリティと同程度に充実しているとは言いづらく、コミュニティも狭くなりがちである。働く女性やLGBTQの人たちや黒人など、彼らは普通の人というよりも特別なものと描かれやすく、そのような扱いは彼らの自尊心を破壊する。社会からの孤立により自尊心が破壊された彼らは、自分の存在すら偽物であると感じてしまうだろう。
もしよくわからないのであれば、あなたが今持っている漫画や映画を見てみよう。黒人の主人公は居ただろうか?だとしたらどのくらいの割合でだろうか?
働く女性が活躍する作品も見てみよう。おそらくかなりの数があると思うが、果たしてその内、女性であることがメインの売りでなく、ストーリーを売りにしている作品がいくつあるだろうか?
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マイノリティの問題を見るのは非常に難しく、あるマイノリティが別のマイノリティを理解することも難しい。故に孤立しやすく、自尊心は大きく低下するとされている。
自尊心とインポスター症候群
このインポスター症候群を語るにあたって、自尊心というのは避けられないテーマである。このような状態は、自己肯定感が高いグループよりも、自己肯定感の低いグループで多く見られるらしく、自身に対して否定的な傾向が強いとされている。自尊心の低さは自身に大きなブレーキをかける原因になる。例えば何かを始めようと思った時に、自分に自身があるのと無いのでは、勢いが違うだろう。自信がなければ、やはり前に進むこと自体が億劫になる。
このような自尊心とインポスター症候群と関係は、単に自分に自信がないから自分への称賛を否定するのだ。と考えがちだが、自尊心の他にも完璧主義という原因もあり、それらによる複合的な影響が彼らの自分が偽物であるという感覚を増幅させているのかもしれない。
成功者は自分自身を追い込むことによって、更に失敗に対する恐怖が増していく。そのうち完璧主義のような感覚に陥るのも仕方ないだろう。失敗するということは、自分が詐欺師であったことを広く公表してしまう事に他ならないからだ。
ちなみにマイノリティに関しても失敗への恐怖は強く、彼らは失敗により目立つことや、マイノリティゆえの境遇により、ただ単に優遇されていたのだろうなどと邪推されるのを恐れるだろう。聞いた話だが、マイノリティは監視されているという感覚が強いらしく、その感覚は完璧主義に拍車をかけることになりそうだ。
ではマイノリティが成功者となったならどうなるだろうか?
恐らくそのストレスというのは尋常ではないだろう。
インターネット上での事例
いままで書いたとおり、インポスター症候群は誰にでも起こりゆるものである。普段は表面化し辛いが、インターネットではまれに相談という形で助けを求めることがある。
長くなってしまうので引用はしないが、確認していただきたい。
昇給を拒否したのですが、ダメでした - 発言小町
この投稿はサラリーマンの男性が昇給を拒みたいという相談であるが、特筆すべきはその理由である。
まず、プロジェクトが上手くいったのは偶然で実力ではないと感じていること。これはインポスター症候群による定型的なもので、自信の実力を肯定することが出来ないという部分に当てはめていいだろう。また、メンバーの功績であると考えているところについても、私のおかげではないという若干の自己卑下を感じる。これは自尊心との関係と一致する。
次に、反動が怖いと感じている。これはインポスター症候群とはあまり関係ないように思える。しかし若干の完璧主義を感じ、少しの失敗でリストラされるのではないか。という恐怖心があるのかもしれない。
私がインポスター症候群の典型的な例だと思う理由として、このサラリーマンは会社からは実力者であると評価されていることだ。この相談内容の真偽はともかく、周りから見れば紛れもない成功者である。
そして返信を見てもらえばわかるのだが、誰一人として原因がわからない。ひどい場合は自慢にも聞こえるとも。この反応こそがインポスター症候群が理解されにくい悩みである証明であり、自尊心が低いにもかかわらず更に孤立してしまう原因である。
克服
ではそんな彼らがインポスター症候群を克服するにはどうしたらいいのだろうか?
多くの場合は、その孤独感から脱却し、自信を取り戻すということが挙げられている。
コミュニティを見つける
同じような悩みを持つ人達で集まり、相談する。言ったようにこの悩みというのは一般の人には理解されにくい、そのため同じ悩みを持つ仲間と話し合い、お互いの孤立している状況から脱却する。
現在ではSNSなどの普及により、このような行動は起こしやすくなっているので、やり方さえ分かれば克服への一歩は進みやすいだろう。
自分の実力を正しく見る
自分の実力を見るのは難しいかもしれない。インポスター症候群の人は自分自身への負のバイアスが強く、大したことではないと考えがちだからだ。
そこでオススメなのは紙に書くことである、自分が今日成功した小さなことでもいいので、成功したりやり遂げたものだけを箇条書きにして書いてゆく。
箇条書きにすることで余計な感情を書き留めることがなく、成功体験だけを書き出すことで後で見た際に自信につながるからだ。
まとめ
インポスター症候群は誰にでも起こる。70%の人が人生の内に一度は体験しているとも言われている。このような感情に振り回されないためには、自尊心を高め、もしも陥ってしまったのなら、コミュニティを探して悩みを吐き出すことをオススメする。
成功にはこのような苦労も待っている。だが、それを知っていることで正しく対処出来れば、そこまで一人で悩み続ける必要はない。
あなたの悩みは特別ではないからだ。
