見たくない自分:影(シャドウ)

2019年2月25日月曜日

コンプレックス 心理学 無意識




誰もが、見たくない自分が居るのではないだろうか?
例えば卑屈な自分、差別する自分、落ち込みやすい自分、怠惰な自分……。
これらの弱い部分から、私達は目を背けがちである。

光もあれば影もある。私達の性格は良いとこばかりではない。





影(シャドウ)


私達の性格には光と影があり、その影の部分をユングは影(シャドウ)と名付け、私達が表面的に出している性格とは違い、表に出すことをためらう性格だと考えた。

この影は日常生活において様々な問題を引き起こすとされていて、例えば「なんとなくあの人が嫌い」だとか「生理的に無理」という漠然とした嫌悪感を抱える原因になりえると考えられる。

私達はそんな影とどう向き合って行けば良いのだろうか?

影と抑圧


私達には無数のコンプレックスがある。例えば顔だったり体型だったりといった外部的なものから、臆病だったり相手の気持ちが分かりづらいといった内面的なものまで存在する。でも私達はそんなコンプレックスにわざわざ数時間も割いて悩んだり、悲観したりはしない。大抵時間が経てば一日は大丈夫なはず。少なくともコンプレックスを悲観し続けて一日が終わった、なんてことはないはずだ。

多くの場合、コンプレックスは受け入れることができる。小さなものであればあるほど、簡単に受け入れ、それ以降は気にする時間が減っていく。ではもし、自分自身の人格を揺るがすようなコンプレックスだったらどうだろう?

私達はそのようなコンプレックスを、受け入れるどころか拒絶する。そんなものはなかったと努力して、心の奥底にしまい込む。例えば体が弱い人がそれを巨大なコンプレックスと感じたなら、何かに囚われたかのようにジムに通い、筋トレを始めるかもしれないし、内向的なことがコンプレックスなら、無理やり外に飛び出してコミュニケーションを取るようになるかもしれない。

これらは一見すると成長のようにも見えるが、危険な要素も含んでいる。心の奥底にしまい込んだコンプレックス自体は、消えていないのだ。

ある日突然、そのコンプレックスを意識しなければならなくなったら、過度に落ち込み、自己嫌悪に陥ったりしてしまいかねない。これが成長ではなく抑圧と言われる理由である。

しかし、これが自分に向いているのならまだマシな方で(それでも問題ではあるので、決して軽いという意味ではない)、抑圧されたコンプレックスは外へも向かう

影の投影


私達が、心の奥底に頑丈にしまい込んだコンプレックスを意識しないようにしながら行動するというのは、わかっていただけたと思う。しかし現実というのは非情なもので、あなたにとってのコンプレックスが、誰かにとってそうでない場合もある(というかほとんど)。

そしてそのような人たちは、あなたの影の部分をそのまま表に出している。それを見れば当然、不快な気分になると思う。だって、全力で抑え込んでいたことを今、目の前で行っている人がいるのだから、「どうしてそんなことをするんだ!」と思ってしまう。

これは投影と言って。自分の影を相手に移してしまっている状態である。

この状態では、相手の性格だったり状況だったりなんて考えることはできない。なぜなら、相手に対して不快になっているのではなく、相手に投影した自分自身に不快になっているからである。

いじめを行った子供が「だって、あいつ○○なんだもん。あいつが悪いよ」と話すことがある。この○○には色々とあるが大抵はいじめを行った子供と真逆な性質であることが多い。これは影の投影であり、いじめっ子が普段抱えているコンプレックスへの嫌悪感であると思われる。

いじめられる側に原因があるのではなく、いじめる側のコンプレックスを勝手に投影しているだけなのだ。なのでいじめられる側は何が原因なのかわからない。いじめる側は、抑圧した自分に怒っているのだから。(もちろん原因はそれだけではないが、加害者に原因があることには変わりない。ただし、その加害者が元々いじめられていたという事も考えられるけれど、脱線してしまうのでこの話はまた別の機会に)

どう向き合うか


このように、影を抑圧してしまうと様々な問題が起こる。ではどうしたら影の部分を無くす事ができるのだろう?

結論から言うと無くすことはできない。私達は表もあれば裏もある。それを避けることはできない。しかし、この影と向き合い、受け入れることはできる。ではどのように行えば良いのだろう?

もしあなたが投影によって相手が合わないだとか、存在にイライラしているとかがあるのならこれはチャンスだと思う、もうすでに自分自身の影に気づいていることになるので、あとはその影と対話してみるだけである。

その対話とは、合わない相手を受け入れることである。相手に投影された影を見て、そして対話し、自分自身の影を受け入れることだ。時間はかかるかもしれないし、時には不快な気持ちに押しつぶされそうになるかもしれないけれど、焦る必要はない。時間をかけて自分自身のダメだと思っている部分を受け入れてみよう。

まとめ


自分のコンプレックスを受け入れるのは当然難しく、長い道のりとなる。しかしそれは無駄な時間ではなく、私達が一歩成長するために必要なことだと思う。

また、自分を理解し受け入れることは自尊感情の上昇にも繋がり、対人関係をより豊かなものにできるのではないかと考えている。自分を許してあげることで初めて、相手が見えてくるのではないだろうか。

ちなみにこの記事はあくまでユング心理学の影を噛み砕いて紹介したものであって、全ての悩みが影に関係するわけではない。

参考